ラーメン
ラーメンは孤独な食べものである。
ラーメンを食べるとき、だれかのラーメンを食べることはできないし、自分の器はひとつと決まっている。このひとつの器と対峙し続けなければならないのが、ラーメンという食事である。
ラーメン屋さんに行くと、かならず孤独な人たちがいる。疲れたサラリーマン、OL、ひとりぐらしの大学生、おばあさん、おじいさんらが、カウンター席で背を丸めてラーメンをすすっている。
ラーメンって、どこからラーメンなのだろう?
というのは、ラーメンはナルトが入ってなくてもラーメンと言うし、麺とスープで、なぜかラーメンと言う。中華っぽくなくてもラーメンと言う。
よくわからない、他称されるラーメンを食べている。
孤独、とは、よくわからないままいることなのではないだろうか。何にも決まらず、ただいるというだけの存在。孤独はよく誰にも恵まれない状態を指すことが多いけれど、逆を言えば、ひたすら関係付けをしないことなのかもしれない。