書く
気がついてみると、万年筆のクリップが錆びていた。金属メッキがぼつぼつと錆びていた。
おもえば、書く作業を最近してない。いつもパソコンか、スマホでテキストをつくってしまう。だってその方がコピーして編集できるし、そのまま印刷できるんだもの。
校正の仕事でペンを持つことは多いけれど、バシバシ書くことはない。赤字でちょちょっと書いておくくらい。
複数人とテキストを共有しなくちゃならないというタスクがある場合、手書きの不自由さはメニアマルものがある。タカタカタカッとタイピングして、メールを送信。これでおしまい。タスクは完了なのである。
しかし万年筆の錆びはショッキングだ。モノは朽ちていくとはいえ、万年筆に申し訳ない。どうにかして使ってあげたい。
学生時代、というのは小学生から大学生まで、あんなにいそいそと鉛筆やペンを動かしていたのに、社会人になってから、いつのまにか書くことをしなくなってしまった。仕事の効率化で、タイピングに日夜忙しい。
考えてみると、何にあれだけ書いていたのかといえば、ノートだった。なんでもかんでも、理科だの国語だの連絡ノートだの、ぐしゃぐしゃと書いていた。きたなかったけど、前のめりだった。
あの感覚を思い出すと、また鉛筆とノートに熱中したい。ペンでもいい。
とにかく、白くまっさらなノートをひっぱりだしておいた。