黙劇プレゼンツ

ちょっぴりをたっぷり。

トップガンという熱い映画について思ったこと。元気が出るポイントを少しだけ。

 

そういえば、父の部屋のCDラックには、トップガン(1986)のサウンドトラックがあったのを思い出した。父が乗っていたバイクはホンダだったけれど。

 

トップガン マーヴェリック(2022)をみた。シン・ウルトラマンを見てから、なにか、物足りなさを感じていたからかもしれない。

 

夕日がオレンジに輝く洋上で、空母から戦闘機が爆音のジェット音とともに飛び立つ。

マーヴェリック(トムクルーズ)は、終わった人で、パイロットとしては優秀だったけど、何度も懲戒処分をうけて昇進はできず、大佐止まり。まわりはやれやれという感じ。

かつて同僚を死なせてしまったことで悩みながら、古巣のトップガンの教官になり・・・というエピソード。

 

元気が出るポイントがあったので、少し書いてみた。

 

メロディーのない爆音

爆音。風切音、爆音。でまた爆音。

戦闘機映画なので、ジェット機が多く出てくる。そのたびにジェットの音が空気を震わせる。

マッハのスピードで空を飛ぶんだからすごい音だ。

音で感動させるには、メロディーと音質、そして音量がある。

リズと青い鳥」(2018)は対照的で、こちらは音質とメロディーの映画。だれもいない音楽室で管楽器のかすかに震える音が心地いい。

トップガンにもうひとつ劇伴があるとすれば、このジェット音かもしれない。

 

どでかい空

なんもない空を見れるのは、戦闘機乗りの特権だと思う。

スカイクロラ」(2008)ではメインテーマのひとつになっているほど、空は大きいテーマになる。

マーヴェリック(トムクルーズ)の飛び方は、曲芸を得意とするため、空は無限に広がる舞台となり、敵や味方、管制塔までを翻弄する。

キャノピー(搭乗席)から顔が映るようにカメラがある。つまり背景は空になっており、戦闘機に乗っているシーンは、空が必ず映る。どっちが上で、どっちが地面かわからなくなる。

滑空する引きの画、戦闘機が画面奥へ滑空するシーンなんかは、すごく自由を感じる。

 

戻ってくる喜び

マーヴェリック(トムクルーズ)はまわりから期待されていない。終わった人として描かれる。それは、昇進もしない、家族もいない、エリートだったのは昔、という過去の人。危険なことばかりする、めんどくさいやつとなっている。

エリート意識ってそもそも何に対しても強いな、と思った。たとえば実力が伴わなかった場合でも、エリート意識が支えになって、巻き返そうとする。

他人からの評価をあんまり気にしないのも、いいなと思う。マーヴェリック(トムクルーズ)は戦闘機乗りとしてのプライド(こういうエリート意識)だけ持っている。

だから、たとえ過去のトラウマ(かつてトップガン時代に同僚を事故で死なせている)があってもなんとか戻ってくる。もちろんこの葛藤のシーンは、映画の中の肝になっている。

 

まだまだいっぱいあるけど、このくらいに。

 

今、スランプだったり、うまくいかなかったり、悲しいことがある人にとって、この映画は元気が出ると思う。

戦闘機乗りのパイロットは、思わず機体の性能とか、敵の存在とか、そういうのが気になってしまうけれど、一番大事なのは、パイロットのコンデションだったり、どう戦闘機を動かすかなんだろうな、と思ったのでした。

 

たぶん、シン・ウルトラマンを見たときに感動できなかったのは、ウルトラマンの自己犠牲感がやだったんだろうなと思う。ウルトラマンって、怪獣と闘うしかなくて、巨大な怪獣が出たらボロボロになって、自己犠牲してお終いって感じだったのよね。それでいいのか、ウルトラマンって。もちろんシン・ウルトラマンのコピーにもある通り、「友情」によってそれは補完されているんだけど、なんかね…。

 

とにかくトップガンは熱い。

それは自由に裏打ちされた葛藤と選択によるものだと思う。

映画冒頭の洋上の夕焼けシーンは、物語の終わりを示すものではなく、また来るぞっていう熱さの表現だったんだろうね。

 

けっこう、自由にやっていいんじゃない、人生って。

そんな勇気がもらえました。