黙劇プレゼンツ

ちょっぴりをたっぷり。

私は私である、という気持ちをどれだけ持てるか。

 

 冬の入り口なのかしら、気温が下がるにしたがって、冬眠に入っていくクマのように、心の動きが遅くなっていく。手が、追いつかない。気がつくと未処理の長期的なプロジェクトがあぐらをかいていて、私はそれを横目で見ることしかできなかった。

 職場では、ずいぶんに責任を負わされる立場にあり、他部署のミスの愚痴をわざわざ言われる始末である。私は愚痴の肥えだめではない。

 会社のマネージメント、他部署との調整、社員教育、もちろん自分のプロジェクトもあって、お客さんには迷惑がかからない程度にサービスを「低下させて」まわしていた。

 が、事件は起こるべくして起こるのである。私のささいなミスが大ごととなり、会社の損害となる。事実確認と対応に追われているなか、社員の「やめたいです」がまた出た。私が他人から影響をうけることはそんなにないが、しかし、追い詰められていた私にとって、底無しに元気を奪う出来事が続くのであった。

 ぽかんと、やる気がなくなって、ポケモンが技を忘れるように、私の手は仕事をどう「掴めばいいか」をすぐに思い出せなくなっていった。社員教育とは、咲くかわからない花に水をあげ続けるもので、やめたい人はやめていく。しかし会社体制は「居続ける」という前提で話が進むわけで、人材不足は一瞬で起きる。中間管理職が管理業務よりも「動いている」のは、そのためなのは言うまでもない。プロジェクトは時間を必要とする。その時間に乗っていけるだけの人材がどれほどいようか(いや、いないの反語)。

 そんなこんなで、休日は塞ぎ込んで寝ることが多かった。

 

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  正直、私は仕事で手を抜いていたと思う。これは自分を追い詰めるというよりも、どう工夫していこうか、というスタートラインを忘れていた。他人のことばかり考えていた。私はどう思うか、私はどうするか、そういう具体的なことを考えず、立場とか、言葉だけの「まねーじめんと」に振り回されていた。じぶんでじぶんのパフォーマンスを消してしまっていた。

 

 もう一度スタートラインを見直そう。立て直せなくてもいい。私は私であるという気持ちで、やるしかない。だって、これが私の今の仕事なんだもの。