黙劇プレゼンツ

ちょっぴりをたっぷり。

バイク

 バイクは孤独な乗り物である。

 周囲のバイク乗りを自称する人たちを見ると、なぜか孤独を感じてしまう。おそらくそれは、バイクが一人しか乗ることができないからだと思う。二人乗りは基本的に推奨されておらず、常に背中を見せながら公道を走っている。

 わかりやすく言うと、反対にクルマは「ファミリーカー」ということばがあるように、何かを乗せることができるという包容力があるように思える。誰かを隣に載せることが前提である場合もある。

 私は自転車によく乗るのでバイクの馬力には驚かされる。自転車で漕いでスピードを出しても、バイクはたったひとひねりのアクセルで、遠くまで行ってしまう。行けてしまう。

 スピードも関係しているのかな、なんて思う。スピードには「何かをおいて行ってしまう」イメージがあるから。

 今日、クルマに乗っていて信号待ちのとき、バックミラーで後ろを見たら2台のバイクがエンジンをアイドリングさせながら待っていた。バイクスーツなど着ておらず、ラフな格好の2人だった。ヘルメットの透明な風防を上にあげて喋っていた。とても楽しそうだった。

 バイクは孤独な乗り物であったとしても、一緒に走る誰かがいれば、それは全く孤独ではないのだなあと思った。

 信号待ちの後、私は左折した。彼らはまっすぐ行ってしまったのをバックミラーで見送ったのだった。