黙劇プレゼンツ

ちょっぴりをたっぷり。

社会人

 社会人になる前、私は社会人を宇宙人のような、遠い存在だと感じていた。しかし気づいてみると社会人になってしまっていた。研修では「社会人とはこうあるべし!」みたいなものとか「学生気分をやめる」などの自己啓発研修を経て、仕事現場の空気を読みながら「社会人の振る舞い」みたいなものを会得していった。ただ、その「社会人の振る舞い」は誰が決めたものでもなく、「こうすれば失礼にならない」みたいな曖昧な経験談のカタマリであって、基本的には空気を読めということだった。

 

 そんな、他人におびえながら職場にいなくてはならない。クライアントにはもちろんのこと、社内の人へも気遣いを忘れたらホされてしまう。窮屈でいやったらしい空間に週5日「勤務」しなければならない。

 

 今日、演劇のプレ・イヴェントで大学生と話す機会があった。彼ら彼女らは明確に夢を持っているわけではなかったが、現状どこへだって就職する選択肢がある。それを探す時間がある。社会人のような、他人のことを週5日も考える必要はない。開かれたイメージがあった。

 

 いいなあ。

 ふと自分の境遇を呪うけれど、社会人だって、大学生くらい自由なんだってことを、言いたい。虚勢かもしれないけど。そう思っていたいだけかもしれないけど。

 

 1ヶ月、特に何も買わなければ、それなりにお金が貯まる。安い高いはある。でも収入が定期的に入ってくる安心感はある。

 あと、いろいろ経験ができる。めんどくさいことや困ったことが多いし、失敗もする。成功もする。わかりにくいけど。

 職が嫌だったら辞めることができる。働いてきたお金でニートだってできる。もう一度学校に入ることだってできる。

 ちょっと敷居の高いバーに入ることができる。夜、お金を使うこと前提で街を飲み歩くのも良いものだ。

 

 要するに、少しだけお金持ちになることができる。もともと時間がない分つぎ込むことができる。

 つまり学生時代とは何ら変わっていないし、むしろお金を稼げる分、金銭的に自由になれる。

 

 週5、会社に行くことが前提で。

 

 だから、本当にやりたいことを、やりたいことにまつわることを仕事にした方がいいよね。そしたらやりたいことができて、お金がもらえるのだから、いいもんだ。

 

 やりたいことがなくても働きながら見つければいいし、そこも自由。

 

 なーんだ社会人だって自由じゃないか。

 

 と思っていたいなあ。