黙劇プレゼンツ

ちょっぴりをたっぷり。

ラーメンと達成感

 こんばんは。今日は寒いですね。

 この時期の雨は一気に秋を迎えようとしている気がします。

 

 

 ジャケットについた雨つぶをはたいて落とし、まだあたたかいエンジンに触る。雨はやむことを知らず、バイクに乗っていようが、そんなことは関係なく降っていた。

 寒いという感覚を抱えながら、久しぶりにラーメンでも食べようかな、とのれんの先を見る。席が空いていたので入り、ふつうで、と頼む。途中でスマホの電池が切れ、とにかく目の前の木目をぼうっと見ていた。

 となりでは親子だろうか、ジャージ姿の女の子と、壮年の女性が「なににしようか」と会話をしている。もちろん大人しくラーメンをすするサラリーマンもいる。わたしはそんなにたくさん食べる方ではないので、ふつうのラーメンを頼んだ。中には大盛りを頼むおじさまもいて、おわんからそびえるもやしの山脈は、わたしには踏破できないだろう。

 

 なんでそんなたくさん食べれるのだろう?苦しくないのだろうか?と思いをめぐらす。食べ終わったサラリーマンは、愛を込めて「ごちそうさま」と言って席をあとにしていった。その顔は満足そうで、きれいに机の上をおしぼりで拭いてから席を立つのも、礼儀正しいというより、満足さの延長でやっている気がした。

 わたしのラーメンもきて、トングでひとくちすすり、それから麺を少しほぐしてから口に持っていく。そのあと少しまぜて、もやしやチャーシューをスープにひたしていく。ラーメンのスープは、言葉ではスープというけれど、その名に似つかわしくなく、不健康な味がする。

 食べているとだんだん足先に血が通ってくる。汗をかくほどではないけれど、じわっとあたたかくなってくる。

 そんな中、なんでラーメンを食べるのかというと、達成感なんだなあと思ってくる。じぶんの好みにトッピングしたり、量にしたりと、じぶんがこれで満足できることを知っている。でも、それは食べ終わってみないと分からない満足なんだろう。

 

 達成感はいつも「終わり」にやってくる。そして気がつくと消えていて、またその達成感を得るために、わけのわからないことをやっていくんだろう。