思い立ったが吉日。久しぶりに絵をかこうと思い、ランチョンマットになっていたペンタブをふき、ペンを握った。
しかし、かけない。ぐるぐるとしたよくわからない線ばかりが生まれるばかりで、空間も面もへったくれもない。最近はこんな調子が続く。
そもそも私は絵描きではなく、落書きをしようとかそういう軽い気持ちでパソコンを起動したのであって、絵のために何かを犠牲にしたり、日々の生活を気をつけたりなんてそんなことは微塵もニンジンもしていないのである。かけないのは画力がないゆえ当たり前だが、こんなに不毛な感情を抱いたのは初めてだった。ペンタブを前にしたら、それなりに楽しかったはずなのに。
気分を転換させるべく、本棚に並ぶ漫画を読む。ふむー、漫画だなー。
それだけ。感動が、ない。
漫画を読むと、まるで映像のように動きが見えて、映画のようだった漫画が、今見ると止まっており、線のかたまりにしか見えない。こんなだっけ、漫画って。
疲れているからだ、とも思ったが、こんな感じが1週間は続いている。しまいには、昔かいた絵をみて、懐かしむ始末。みじめだ。そんな気がした。
ふと小説に目をやった。小説は、文字しか書かれていないけど、人物の動きだとか、心情の揺れ動きが、なぜか分かる。絵で描いてある漫画と同じくらい。表情の、顔の絵なんてないのに、小説はすごいなーと思った。
というか、小説やら漫画やら、何を鑑賞するにしても、想像力がないと鑑賞できない、読者になれない。私は今、漫画の良き読者だろうか、と考えたところまったくそんなことはなかった。読んでいるというより、通り過ぎるのを見ている感じ。想像のその字もなく、ソーゾーで終わり。
そりゃあ、消化する時間も早いし、つまらなくもなるに決まっている。
とここまで来て、私はイメージすることを忘れていることに気づくのだった。
イメージ。バカみたいな字面だけど、じぶんができているかを問われると、バカにできないことに気づく。