黙劇プレゼンツ

ちょっぴりをたっぷり。

準備という快楽

 

   ジブリの名プロデューサー、鈴木敏夫が特集される番組をyoutubeで観ていた。

 

   どうやってスタッフをやる気にさせるか、という問いには「仕事は祭りだから」と答えた。スタッフを巻き込む、とも言っていた。

 

   しかしその祭りの始まる公開初日の試写会では、鈴木は家でナイターを観ていた。お祭りであれば、鈴木さんだって喜んでみんなといるものなのでは?お客さんの反応が気になるものでは?といろいろ疑問があった。

 

   「結果に興味ないんだよねー」とソファの上であぐらをかき、餅を食べながらその番組はエンドロールが流れた。

 

   鈴木敏夫は、整理整頓が好きで、プロセスがおもしろくて、結果には興味がない。極論すると、それだけが知れた番組だった。

 

   ジブリの名プロデューサーという肩書きの華々しさとは全然違う、お寺の前の落ち葉を掃除する住職のようだった。地味だった。

 

   いつもいつも、仕事は結果で見られてしまうし、自分でも見てしまう。ダメだったから、バツ。良かったから、マル。はっきり結果が出ることでモチベーションになることはあるけれど、私たちの仕事は、そんなにはっきり結果が出ているだろうか…?

 

   なにを結果というか、仕事によって違うけれど、よくわからないままつぎの仕事が進行して、かき消されてしまうような気がする。結果が良くなかったからといって殴られるわけでもないし、運が悪ければ減給か、クビ(そんなことはまずありえない)だろう。そんなのが結果…?

 

   もしかしたら仕事の中で見つけやすいモチベーションは、結果ではなくて、プロセス、つまり日々の準備にあるんじゃないかなー、などと漠然と思うのです。

 

   そう考えると、仕事はほとんど準備することみたいなものだから、モチベーションの範囲ってほんとは広いのでは?と疑ってもみる。

 

   おいしいと言わせるためだけに料理するんじゃなくて、なにを組み合わせようか、火加減はどうしようか、お皿はなにがいいか、こういう準備そのものが楽しいときって、ありませんか?