黙劇プレゼンツ

ちょっぴりをたっぷり。

神経質

 疲労には心地よい疲労と心地悪い疲労がある。

 運動をやったことのある人は疲労に対して心地よい印象を持っているかもしれないが、残念ながら業務において疲労するのはもっと毒々しいものがある。

 人間関係、気遣い、思いやり、圧力などを感じやすい人はなおのことこの毒にやられやすい。繊細なほど気を使ってしまって、気がついたら泡を吹いて倒れている。

 神経質なんだから鈍感になれとよく言われる。ていうか鈍感になれるんだったら最初から鈍感になっとるわ。

 話変わって坂本龍一が何かのインタビューで「自分を鎖国する試みをよくする」と言っていた。音楽を聞くと影響を受けてしまうので、自分の音楽を作るためには鎖国が必要だという。

 神経質も同じなのではないかな、と思った。過敏な私たちは情報を拾いすぎているのではないだろうか。たぶん引きこもるのも、情報を処理することができないという、体からのメッセージなのかもしれない。

 例えば世界中の本を読むことは、私にはできない。現在人類が蓄積してきた知識すべてを網羅することはできない。そうすると、私たちは全体の知識の中のごく一部分しか、この数十年という人生の中では知ることができない。

 いわゆる常識を知らない、というのは論外だけれど、無理に目の前にある情報を取り込む必要はないんじゃないのかな。

 鎖国してみよう。

 でもまあ、ちょうどよく鎖国するために、出島は作っておきたいね。